脳神経外科(脳卒中センター)

脳神経外科(脳卒中センター)

診療方針

・当院の脳卒中センターは、脳神経内科と連携して、脳神経領域の患者さんの診療にあたっています。

・特に、発症直後の脳卒中患者さんに対して、24時間365日体制で救急応需・集中治療を行っております。

・また、脳神経疾患のうち手術の対象となる疾患(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷など)にも幅広く対応しています。

・看護部門、放射線部門、生理検査部門、リハビリテーション部門、社会福祉部門など、数多くの職種が一丸となって、入院から退院まで、患者さんの診療・支援にあたっています。

 

主な対象疾患と診療内容

脳神経系の病気は、他の臓器・器官と同様、病理学的に大きく分類します。

(1) 循環障害 例:脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血など
(2) 腫瘍 例:髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫、神経膠腫など
(3) 外傷 例:脳挫傷、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、慢性硬膜下血腫
(4) 先天異常 例:先天性水頭症、二分脊椎、キアリ奇形など
(5) 炎症・感染症 例:髄膜炎、脳膿瘍、脳炎など
(6) 代謝異常・変性症 例:パーキンソン病、アルツハイマー病、ウェルニッケ脳症、低酸素脳症など
(7) 機能的疾患 例:三叉神経痛、顔面痙攣、難治てんかんなど

 

・これらのうち、脳神経外科の治療対象となる主な疾患群は、外科的な介入(「手術」)が必要となる、あるいは予想
 される「循環障害」「腫瘍」「外傷」、そして一部の「先天異常」「炎症・感染症」「機能的疾患」です。(高度医
 療機関の中には、変性疾患に対する手術を行っているところもあります)。

・なお、炎症・感染症、代謝異常・変性の多くには、主に脳神経内科で内科的治療(薬物治療)を行っています。

 

(1) 循環障害=脳血管障害

・「脳血管障害」とは、脳の血管に障害が起きている疾患の総称です。

・脳血管障害のうち、脳の血管が突然破れるか詰まるかして、脳に血液が届かなくなり、「急性」の経過で、脳の神経
 細胞が障害される病気の総称を、「脳卒中」といいます。

・脳卒中の問題は、迅速に対応しなければ、①生命の危機、および②神経の後遺症に関わることです。

・そのため、当センターは24時間365日体制で、「脳卒中ホットライン」という、救急隊や開業医の先生方との「直通
 専用電話」を介して、平塚市を中心とする広域から、救急患者さんを受け入れ、迅速な診断と治療を行っています。

 

・「脳卒中」には、以下の代表的な病気があります(病気のごく一部です)。

 ・虚血性脳卒中・・・脳の動脈が突然詰まるタイプの脳卒中

  ・脳梗塞・・・脳のある領域に血液が行かなくなり、その範囲の脳神経細胞が壊死するもの。

  ・ラクナ梗塞:脳の中央を貫通する細い血管が詰まるもの。

  ・アテローム血栓性脳梗塞:頸や頭蓋内の太い動脈の内側の壁にできたプラーク(粥状の隆起)で詰まったり、
   それが脳の血管まで飛んで詰まるもの。

  ・心原性脳塞栓症:心房細動などにより生じた心臓の中の血栓が、血流にのって脳の動脈に詰まるもの。

 ・出血性脳卒中・・・脳の血管が突然破れるタイプの脳卒中

  ・脳出血:脳の内部に出血するタイプの出血性脳卒中。

   ・高血圧性脳出血:高血圧が原因

   ・高齢:加齢による血管壁の変性が原因

   ・血管奇形破裂:もともと脳内にあった動脈や静脈の奇形が原因

   ・脳静脈洞血栓症・脳静脈血栓症・・・脳の主たる静脈血管が閉塞し、脳から心臓に戻るべき血液が脳内に
    うっ滞し、頭蓋内の圧力が高まったり、脳内出血を来し、頭痛や痙攣発作、その他麻痺や失語などを生じる。

   ・クモ膜下出血:脳と脳の隙間(「くも膜下腔」)に出血するタイプの出血性脳卒中。

    ・脳動脈瘤破裂に伴うもの:先天的に動脈壁に弱い箇所があり、そこが徐々に膨れ、最後に割れたもの

 

・この中で、特に分単位の時間との戦いになるのが、脳梗塞です。

・以前までの脳梗塞の治療は、詰まった血管はどうにもできず、脳梗塞の増大や再発を予防する治療や、梗塞になった
 脳の腫れを緩和する治療しかありませんでした。

・現代は、閉塞した脳血管をできるだけ早く再開通させる治療が推奨されており、それによって、まだ脳梗塞が完成して
 いない範囲の神経細胞を救済し、「命を救う」と同時に「神経後遺症を最小限に食い止める」ことを目指します。

・具体的には以下の2つの治療があります(実際には、いくつかの厳密な条件を満たす必要があります)。

 ① tPAという薬剤を静脈内に投与し血栓を溶解させる(経静脈的血栓溶解療法)

 ② 血栓で詰まった血管にカテーテルを到達させられるのであれば、それを挿入し、
   直接器具で血栓を絡み取るか、あるいは血栓を吸い取る(機械的血栓回収療法)

・当院は、日本脳卒中学会により「一次脳卒中センター」として認定されておりますが、それ以前から、脳神経内科と
 脳神経外科がタッグを組んで、①②の治療を行って来ました
   (「一次脳卒中センター」について https://www.jsts.gr.jp/facility/psc/index.html

 

・出血性脳卒中に関して、脳出血の手術は以前より減少しましたが、高血圧未治療の若い方や、水頭症を合併した際、
 「命を救う」ために、速やかに手術(「開頭血腫除去術」「穿頭脳室ドレナージ術」「内視鏡下血腫除去術」)に
 移れる体制を整えています。

・出血性脳卒中であるクモ膜下出血の患者さんは、破裂した脳動脈瘤が一旦止血している状態で搬送されることが多く、
 「命を救う」ためには次の破裂を防ぐ必要があります。動脈瘤の大きさ、部位、向き、患者さんの年齢や状態から、
 総合的に判断し、「開頭動脈瘤頸部クリッピング術」「経皮的動脈瘤内塞栓術」を選択しています。

 

・「慢性」の経過をたどる脳血管障害にも、以下の病気があります。

 ・虚血性脳血管障害・・・ゆっくりとした経過で頸の血管が狭くなるタイプ。生活習慣病と関係あり。

  ・内頸動脈狭窄症・・・頸の動脈が動脈硬化で狭くなる。治療は「血栓内膜剥離術」や「ステント留置術」。

  ・内頸動脈閉塞症・・・頸の動脈が完全に詰まる。治療は「頭蓋外頭蓋内血行再建術(バイパス術)」。

 ・出血性脳血管障害・・・ある程度の確率で出血することが証明されているタイプ。生活習慣病と無関係。

  ・脳動静脈奇形・・・脳の動脈と静脈が直接連結している奇形。治療は「開頭摘出術」や「定位放射線治療」。

  ・硬膜動静脈瘻(ろう)・・・脳を包む膜(硬膜)上で、動脈と静脈が直接連結している奇形。治療は「開頭流入
   血管・流出血管閉塞術」や「カテーテルを用いた塞栓術」。

  ・未破裂脳動脈瘤・・・破裂前の脳動脈瘤。サイズと発生部位により、破裂率を予測できます。治療は、クモ膜下
   出血の治療と同じ。

 ・それ以外の血管障害・・・脳梗塞にも脳出血にもなりうるタイプ。

  ・もやもや病・・・脳の主たる内頸動脈が徐々に細くなると同時に、血液を補うために細い血管が生えてきて、
   「もやもや」状にみえるもの。「頭蓋外頭蓋内血行再建術(バイパス術)」が候補。

 

・慢性の経過をたどる脳血管障害は、その時点では無症状あるいは軽症のことが多いので、治療をするかしないか、
 するとしたら何がベストか、脳卒中ガイドラインを遵守した提案を行い、十分ご理解と同意を頂いた上で、
 治療を決定します。
 

(2)腫瘍:脳腫瘍

・患者さんが、頭痛や嘔気を訴えたり、麻痺や意識障害、痙攣などを呈していると、脳卒中が疑われ当センターに
 救急搬送されるのですが、たまに、「脳卒中」ではなく「脳腫瘍」の場合があります。

・脳腫瘍とは、脳の組織から発生した細胞が、他からの制約を受けず、自立性に無目的かつ過剰に増殖するものです。

・脳腫瘍には、良性腫瘍と悪性腫瘍があり、その違いはそれぞれ、発育速度が遅い・速い、増殖様式が膨張性・浸潤性、
 遠隔転移をしない・する、予後が良い・悪い、です。

 

・良性腫瘍の代表疾患は、髄膜腫・神経鞘腫・下垂体腺腫です(他にも多数あります)。

・良性脳腫瘍の治療は、ざっくりいうと、開頭手術(あるいは内視鏡手術)、小さい例や再発例には放射線治療です。

・難しい部位(後遺症が出やすい部位)に腫瘍が存在する場合、ある程度その手術に特化し、機材や設備が充実した
 施設で治療をしたほうが良いかもしれません。

・実は、当院では、神経内視鏡を用いた手術(経鼻的下垂体腫瘍摘出術や、脳室を経由した手術)にも力を注いでおり
 ます。

 

・悪性腫瘍の代表が、神経膠腫・中枢神経系悪性リンパ腫・転移性脳腫瘍です(他にも多数あります)。

・悪性脳腫瘍の治療は、外科手術単独では完遂できません。特殊な手術方法、特別な機械、迅速な診断、分子生物学的
 解析、化学治療や放射線治療、などが必要になることもあるので、多少遠方でも大学病院を紹介しています。

・それでも、当科での治療を希望されれば、最大限の準備(徹底した術前検査とプランニング、専門の外科医の招聘、
 手術器械や機材の用意)で望んでいます。

・脳腫瘍に対する放射線治療は、現代においては定位照射(病変に放射線量を集中させる方法)が主流なので、それが
 可能な近隣の施設と連携をとっています。
 

(3)外傷:頭部外傷・顔面外傷・脳外傷

・当院は、三次救急施設ではないので、最重症頭部外傷(来院後30分以内に開頭が必要な頭蓋内出血)の患者さんが
 救急搬送されることは稀ですが、頭部外傷治療は、脳神経外科専門医の必須能力なので、緊急対応は可能です。

・頭部外傷にもさまざまな傷病名がありますが、仮に、頭蓋骨が折れていても、頭蓋骨の内側に多少出血があっても、
 多くは手術の必要性はありません(経過観察です)。

・しかし、頭蓋骨の内側に(脳実質内・脳実質外問わず)溜まった血液により、頭蓋内の圧力が急激かつ猛烈に高く
 なり、脳幹(大脳と脊髄の間にある、生命維持中枢)の機能が障害されつつある状態に対して、救命のために、
 一刻を争い圧力を減じる手術(=減圧術)が必要となります。年に数回はあります。

 

・ただ、当科で最も多い手術は、実は頭部外傷の1つ、慢性硬膜下血腫です。これは、些細な頭部外傷のあと、
 しばらくして(1〜3ヶ月後)頭蓋骨と脳の表面との間にゆっくりと血液がたまり、ゆっくりと頭痛・麻痺・
 意識障害が出現するものです。高齢・男性・飲酒・外傷歴に関連があります。局所麻酔で頭蓋内の血液を抜くと、
 大半の方が術直後から症状が改善し、1週間程度で自宅に退院されています。
 

(4)先天異常

 ・先天異常とは、生まれた時から、体の形や臓器の機能に異常がある状態で、染色体・遺伝子異常、薬剤や感染症など、
 様々な原因により起こります。あらゆる臓器で起こりうるので、脳や脊髄にもいくつかの病気があります。

・出生前から小児期までに診断がつくので、多くはこども病院で治療されるのですが、成人になってから発症する疾患
 もあります。

・例えば、キアリ奇形といって、小脳や脳幹の発生異常を基盤とし、小脳や脳幹の一部が、頭蓋骨から下の方にはみ出
 て、症状を呈する病気があります。

・また、中脳水道狭窄症といって、脳内で脳脊髄液の循環路の一部が狭くなり、最終的に塞がると、脳内に液体がたま
 り(水頭症)、頭痛や嘔気、視野障害などの症状が出る病気もあります。

・これらの病気に対して、物理的処置しか効果がないので、手術治療が候補として挙がります。
  

(5)炎症・感染症

・細菌、真菌、寄生虫、ウイルス、いずれの外来微生物も、中枢神経系に感染すると、髄膜炎、脳炎、脳室炎、脳膿瘍
 などの病気になりえますが、敵は小さくて大勢なので、薬の治療がファーストチョイスです。

・しかし、頭蓋の内側に、比較的多量の「膿(うみ)」が貯留していると、局所的に脳が障害される、薬が膿の中心ま
 で届かない、頭蓋内の圧力が高まる、などの問題が生じます。

・そのような時に「開頭して悪いものを減量し、後は薬で叩く」ための手術が候補となります。
 

(6)機能的疾患

・この小分類は、病理学的分類にはありませんが、治療しなくても大抵は死に至ることはないものの、生活していく上で
 多大な障害・苦痛をもたらし(ゆえに「機能的」)、脳神経外科手術の対象となる病態が含まれます。

・顔のどちらか半分に、突然電気が走るような強い痛みが繰り返し起こる(三叉神経痛)、顔のどちらか半分がびくびく
 と動き、時に歪む(顔面痙攣)、などがこれらの疾患に含まれ、いずれも脳幹の神経と動脈の接触が原因と生じると考
 えられています。

・いずれも最初は薬物治療ですが、どうにも効果がなくなったときには、物理的にそれらを引き離す手術(微小神経血管
 減圧術)が候補となります。

・てんかんは、「脳の神経細胞に突然発生する、激しい電気的な興奮により、繰り返す発作を特徴」とする病気で、脳の
 中のどの部位で興奮が起こるかにより、様々な症状(意識がなくなる、手足をつっぱる、手足をがくがくと曲げ伸ばし
 する、など)が現れます。

・てんかんにもいろいろな型があり、最初は薬物治療ですが、3種類の抗けいれん剤でも効果が乏しい時、「難治性てん
 かん」といい、手術治療を考慮する場合があります。この検査と治療は、高度専門性を求められるので、連携した大学
 病院に紹介しています。

スタッフ

医師 専門分野 資格
横山 高玲
よこやま たかあきら
部長
脳卒中センター副センター長
間脳下垂体腫瘍
脳神経外科一般
医学博士
日本脳神経外科学会専門医・指導医
日本神経内視鏡学会神経内視鏡技術認定医
難病指定医

篠原 禎雄
しのは
ら ただお

医長 脳血管障害
脳神経外科一般
日本脳神経外科学会専門医・指導医
日本脳神経血管内治療学会専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
日本神経内視鏡学会神経内視鏡技術認定医
難病指定医

土持 壮登
つちもち まさとう

     

宮田 裕也
みやた
 ゆうや

     
国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院

〒254-8502 神奈川県平塚市追分9-11 TEL 0463-32-1950

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